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「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
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ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

碑

第49回 『琵琶湖周航の歌』

 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。前回の『我は海の子』は、「我は海の子…」という歌い出し。「海」と「湖」の違いはありますが、今回は「同じ歌い出しつながり」ということで、『琵琶湖周航の歌』を取り上げます。
 旧制第三高等学校のボート部に所属していた小口太郎*が、琵琶湖周航中に泊まった今津の宿で、『ひつじぐさ』(作曲者:吉田千秋**)という歌のメロディーに載せてこの詞を部員の前で披露したのは、大正6年6月28日のこと。以来、旧制第三高等学校や後身の京都大学の関係者を中心に、全国的に愛唱されています。



『琵琶湖周航の歌』(大正6年6月28日、近江今津の宿にて披露)
 作詞 小口太郎(おぐちたろう、1897−1924)
 作曲 吉田千秋(よしだちあき、1895−1919)

 

碑

 

1.われは湖(うみ)の子 さすらいの
   旅にしあれば しみじみと
  昇る狭霧(さぎり)や さざなみの
   志賀の都よ いざさらば

2.松は緑に 砂白き
   雄松が里の 乙女子は
  赤い椿の 森蔭に
   はかない恋に 泣くとかや

3.波のまにまに 漂えば
   赤い泊火(とまりび) なつかしみ
  行方定めぬ 波枕
   今日は今津か 長浜か

4.瑠璃の花園 珊瑚の宮
   古い伝えの 竹生島(ちくぶしま)
  仏の御手に いだかれて
   ねむれ乙女子 やすらけく

5.矢の根は深く 埋もれて
   夏草しげき 堀のあと
  古城にひとり 佇めば
   比良も伊吹も 夢のごと

6.西国十番 長命寺
   汚れの現世(うつしよ) 遠く去りて
  黄金の波に いざ漕がん
   語れ我が友 熱き心

 

 1番でボート部の艇庫のある「志賀の都」=大津を出発、琵琶湖を時計回りに周航し、2番では近江舞子で白砂青松の浜を眺め、3番では近江今津の宿を、4番では霊場・竹生島を歌い、5番では彦根城、6番では近江八幡の長命寺を取り上げています。小口は今津の宿で『琵琶湖周航の歌』を披露していますが、その時点では3番までしかできていなかったかもしれません。
 また、6番に「西国十番 長命寺」とありますが、実は長命寺は西国三十三カ所札所の三十一番。本物の十番札所は京都府宇治市の三室戸寺です。歌詞を「三十一番 長命寺」とすれば問題なかったのですが、なぜ「西国十番」になったのでしょう?内輪で作った歌が部員の間で歌い継がれていくうちに、いつしか誤って伝えられたのか?真相は闇の中です。
 さて、『琵琶湖周航の歌』の歌碑ですが、碑は各番ゆかりの地にそれぞれ建てられています。そのうち、今回は3番の今津にある碑をご紹介します。碑は竹生島への観光船が出ている今津港の桟橋の脇に、湖を背にして立っており、その傍らには曲の元になった「ひつじぐさ***」の鉢が置かれいます。

ひつじぐさの鉢

ひつじぐさの鉢

 ところで、JR近江今津駅から今津港へ向かう途中には、観光協会が運営している「琵琶湖周航の歌資料館」があります。入館無料なので、歌碑を訪れる際にはこちらで予習してから行くとよいでしょう。

琵琶湖周航の歌資料館

琵琶湖周航の歌資料館

* 小口太郎 明治30年、長野県諏訪郡湊村(現・岡谷市)生まれ。大正5年、第三高等学校(現・京都大学)大学予科第二部乙類に入学。8年、東京帝国大学理学部に入学。11年、同大学航空研究所の嘱託となる。大正13年に死去。

**吉田千秋 明治28年、新潟県中蒲原郡小鹿村(現・新津市)生まれ。45年、東京農業大学に入学。大正2年頃から音楽、ローマ字関係の雑誌に投稿を始める。持病の肺結核が悪化し、同校を休学。やがて退学する。大正4年、英詩「WATER LILIES」を訳して曲を付け、『ひつじぐさ』という題で雑誌『音楽界』8月号に発表。大正8年に死去。

***ひつじぐさ スイレン科の多年生植物。7、8月頃白い花を咲かせるが、未の刻(午後2時)に花が満開になることから、こう呼ばれる。

[参考文献

「琵琶湖周航の歌資料館」パンフレット 高島市役所商工観光課発行]

場所:滋賀県高島市今津町今津港
交通:JR湖西線近江今津駅より徒歩4分

・琵琶湖周航の歌資料館
場所:滋賀県高島市今津町中沼1−5−7
交通:JR湖西線近江今津駅より徒歩3分
開館時間:9:00〜17:00
休館日:月曜日及び祝日の翌日、年末年始
入館料:無料
問い合わせ先:0740−22−2108


2006年9月22日更新
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[ああ我が心の童謡〜ぶらり歌碑巡り]
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