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「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-50.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

碑

第17回 『兎と亀』

 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。今回は、『兎と亀』です。
 5月の下旬から6月にかけては、春の運動会シーズン。小生が小学生だった頃は、スピーカーから大音量で流れてくる『兎と亀』や『剣の舞』(ハチャトゥリャン作曲)などが、徒競走を盛り上げていました。そのためか、今でもこれらを聞くと体がもぞもぞします。
 童謡『兎と亀』は、明治34年7月に『幼年唱歌(二編上)』に発表されました。作詞者は『金太郎』の石原和三郎、作曲者は納所弁次郎*です。

 

『兎と亀』(明治34年7月、『幼年唱歌(二編上)』にて発表)
 作詞 石原和三郎(いしはらわさぶろう、1865−1922)
 作曲 納所弁次郎(のうしょべんじろう、1865−1936)

 

碑

 

1.もしもし亀よ 亀さんよ
  世界のうちでお前ほど
  歩みののろい者はない
  どうしてそんなにのろいのか

2.なんとおっしゃる 兎さん
  そんならお前と駆けくらべ
  むこうの小山のふもとまで
  どちらが先に駆けつくか

3.どんなに亀が 急いでも
  どうせ晩までかかるだろ
  ここらでちょいと一ねむり
  グーグーグーグー グーグーグー

4.これは寝すぎた しくじった
  ピョンピョンピョンピョン ピョンピョンピョン
  あんまりおそい兎さん
  さっきのじまんはどうしたの

 

兎

 この歌の出典は、イソップ童話です。皆さんご存じの通り、イソップ童話は古代ギリシアのイソップが語ったとされる寓話集ですが、石原は詞を作る際、「グーグー」とか「ピョンピョン」といった擬音語を採用し、幼い子供にも親しみが持てる内容に仕上げました。

亀

 『兎と亀』の歌碑は、わたらせ渓谷鉄道の花輪駅そばの旧花輪小学校(群馬県勢多郡東村)の一角にあります。石原和三郎はこの小学校を卒業し、後に、ここの校長を勤めています。彼は明治24年から5年間、校舎の新築、当時高価だったオルガンの購入(演奏は石原自身が行った)などに邁進する一方で、『小学唱歌集註解』(明治29年)を東京の出版社から刊行しています。現在の建物は昭和7年に建てられたものですが、木造の校舎は私達に懐かしい感じを与えてくれます。小学校は統廃合によって廃校になり、昨年記念館としてリニューアルしました。中には、石原のコーナーも設けられているので御覧になるとよいでしょう。
 また、沿線には「童謡ふるさと館」(神戸駅よりバス)もあり、ここでも石原の業績が紹介されています。もしご興味がありましたら、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

徒競走

*納所弁次郎 作曲家・教育家。慶応元年、仙台生まれ。明治20年、音楽取調掛(のちの東京音楽学校)全科卒業。明治36年まで東京音楽学校で教鞭を執る。また、学習院の教授も勤めた。田村虎蔵らと共に「言文一致唱歌」を提唱した。代表作は『桃太郎』、『お月様』など。昭和11年死去、享年70。


[参考文献

大槻三好『明治唱歌の父 石原和三郎読本』群馬出版センター 平成5年

下中邦彦編『音楽大事典第4巻』平凡社 昭和57年]

場所:群馬県勢多郡東村大字花輪191 旧花輪小学校記念館 敷地内
交通:わたらせ渓谷鉄道「花輪」駅より徒歩5分

旧花輪小

・登録有形文化財 旧花輪小学校記念館

場所・交通:同上
開館時間:10:00〜16:00
休館日:平日(土・日開館)
入館料:無料
問い合わせ先:0277−97−2622

童謡ふるさと館

・童謡ふるさと館
場所:群馬県勢多郡東村大字座間367−1
交通:わたらせ渓谷鉄道「神戸」駅よりバス5分。「童謡ふるさと館」バス停下車。
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(ただし祝祭日の場合は翌日)、2月の第3月・火・水曜日、12月28日〜1月4日
入館料:大人 200円、4才〜小学生 100円(団体割引あり)
問い合わせ先:0277−97−3008


2004年5月14日更新
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[ああ我が心の童謡〜ぶらり歌碑巡り]
第16回 『みどりのそよ風』
第15回 『朧月夜』
第14回 『早春賦』
第13回 『春よ来い』
第12回 『鉄道唱歌』(東海道編)
第11回 『赤い靴』
第10回 『靴が鳴る』
第9回 『紅葉』
第8回 『證城寺の狸囃子』
第7回 『かもめの水兵さん』
第6回 『箱根八里』
第5回 『赤い鳥小鳥』
第4回 『金太郎』
第3回 『荒城の月』
第2回 『春の小川』
第1回 童謡が消えていく
[ああわが心の東京修学旅行]
最終回 霞が関から新宿駅まで 〜霞が関から山の手をめぐって〜
第8回 大手町から桜田門まで 〜都心地域と首都東京〜
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