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「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
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ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

第24回 『城ヶ島の雨』

碑


 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。今回は、『城ヶ島の雨』です。
 『荒城の月』や『箱根八里』と並んで、音楽の時間のレコード鑑賞でお馴染みだった『城ヶ島の雨』。この歌は、大正2年10月30日に東京数寄屋橋の有楽座で開かれた「芸術座音楽会」で発表されました。作詞は北原白秋、作曲は梁田貞。発表当日は梁田自身が独唱したそうです。



『城ヶ島の雨』(『白秋小唄集』アルス社 大正8年 より[『白秋全集29』に収録])
 作詞 北原白秋(きたはらはくしゅう、1885−1942)
 作曲 梁田貞(やなだただし、1885−1959)

 

碑

 

 雨はふるふる、城ヶ島の磯に、
 利休鼠の雨がふる。
 雨は真珠か、夜明の霧か、
 それともわたしの忍び泣き。
 舟はゆくゆく通り矢のはなを
 濡れて帆あげたぬしの舟。
 ええ、舟は櫓でやる、櫓は唄でやる、
 唄は船頭さんの心意気。
 雨はふるふる、日はうす曇る。
 舟はゆくゆく、帆がかすむ。

 

 当時、白秋は破産した一家の再興を期して神奈川県三浦市三崎の向ヶ崎に移り住み、家族で魚の仲買業を営んでいました。彼が住んでいた家は「異人館」と呼ばれ、その対岸に城ヶ島がありました。白秋はここから見える風景を元に『城ヶ島の雨』の詞を書きました。「利休鼠」とは、抹茶色がかった灰色のこと。また、「通り矢」は地名で、向ヶ崎から見て東の方にあります。
 後年、白秋は『城ヶ島の雨』について次のように述べています。

向ヶ崎

白秋が住んだ向ヶ崎

 「城ヶ島の思ひ出は尽きない。相州の三浦三崎、その向うが崎の突つ鼻、左に通り矢の岩を望み、正面に城ヶ島の遊びヶ崎の磯を眺めて暮らした私たち家族であつた。大正二年の夏である。この唄は芸術座音楽会のために、舟唄として作つたものである。私の歌謡の中で、初めて作曲されて世に流布したものは、即ちこの『城ヶ島の雨』であつた。のみならず、日本でのかうした新歌謡の最初のものだといふので、その歌碑を城ヶ島に建てようなどといふ音楽家たちの懸案もあるやうであるが、さうしたことよりは、この頃、三崎名産、白秋漬・城ヶ島の雨といふ罎詰の昆布煮が無断で売られてゐるのには驚いた。『利休鼠の雨が降る』といふのをどんな鼠が降つて来ますか訊かれて苦笑したこともあつたが、それは、兎に角、この『城ヶ島の雨』は梁田貞氏に依つて当時作曲された。ほかにも二、三氏の曲があるがこの曲のみが因縁も深く、今も多く唄はれてゐる」(『北原白秋歌謡名曲集の言葉』ビクターレコード付録解説 昭和14年 より[『白秋全集36』に収録])
 懸案だった『城ヶ島の雨』の歌碑建設は、島が要塞地帯で立ち入りができなかったため、昭和24年まで待たなければなりませんでした。白秋は17年に亡くなりましたが、彼の生前の希望に基づいて、詞は帆型の自然石に刻まれて島内の遊ヶ崎に据えられました。三崎側から見るとちょうど帆を上げた舟が岬の先を回っていくように見えたのですが、残念ながら、昭和32年に始まった城ヶ島大橋の工事のために近くの浜に移されてしまいました。今回は、こちらの碑をご紹介します。

城ヶ島大橋

 橋のお陰で白秋が眺め暮らした城ヶ島の風景は一変してしまいましたが、皮肉にも交通の便が良くなって碑を訪れる観光客はますます増えました。碑の近くには「白秋記念館」もありますので、城ヶ島へ遊びに行った際には是非お立ち寄り下さい。

[参考文献

『白秋全集29』岩波書店 昭和62年

『白秋全集36』岩波書店 昭和62年]

場所:神奈川県三浦市城ヶ島
交通:京浜急行「三崎口」駅より京浜急行バス「城ヶ島」行きで「白秋碑前」バス停下車、徒歩5分。

・白秋記念館
開館時間:9:30〜16:00
休館日:毎週月曜日
入館料:無料
問い合わせ先:046−881−6414

城ヶ島灯台遠望

城ヶ島灯台遠望



2004年11月5日更新
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