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「まぼろし通販百科」タイトル 日曜研究家串間努

第16回「ガリ版もパソコンも根っこは同じ」の巻


 ガリ版はすっかりなくなり、家庭での年賀状製作はプリントごっこにとって代わられた現代である。そのプリントごっこさえ、パソコンの普及とカラープリンターの低廉化によって風前の灯火である。今年、私の手元に来た年賀状にプリントごっこで作成されたものは1枚しかない。「ガリガリ」と鉄筆でヤスリをこする音から「ガリ版」といわれるが、正しくは「謄写版印刷」である。
昭和四〇年代にはまだ、コピーは普及していなかったので、家庭や学校で大量の印刷物を作るにはガリ版がかかせなかった。同人誌なども手書きそのままの「肉筆回覧誌」の時代であり、小さなサークルで発行する会報の大半はガリ版印刷。表紙はガリ版の多色刷りといういまからみると美術品のような作品であった。ガリ版印刷のネックは、素人が手軽に手を出すことができる反面、技術力の差が歴然と現れることであった。ヤスリには「+」面、「X」面などがあり、+はゴチック活字を描く面、Xは明朝体やカットを描くための面だった。+が交差している溝に沿って鉄筆を動かせば自然に角ばったゴチック体が描けるようになっている。だが基本をしらないと手紙にペン字を書くように力の強弱をつけて描いてしまうため、かえって字がうまい人のほうがガリ版の文字が下手くそに見えることもあった。ガリ版で印刷することも技術介入の余地が大きく、謄写版用インクはそのまま使うのではなく、灯油で練ると良いとか、自分で新しいインクを作ったとか、一回、原紙に修正液を全面に塗ると刷版の耐久性が増すぞ、などなど自然発生的なハウツーがためられていた。そういえば、「Z式」と称して、印刷枠をゴムで天井に止めて、手で枠を上げ下げしなくてもゴムの弾力性で枠が自動的に上がる方法などもあった。

トウシャ板

「ヒカリ謄写版」 ここで紹介する「ヒカリ謄写版」の広告などは、子ども向けの安価品である。もちろんサイズもハガキサイズで小さい。私も子どもの小遣いでは買えなかったので、「マイプリンター」という家庭用謄写版を買ってもらったことがあった。パソコンを買うことでインターネットができ、ホームページによって誰でも情報発信を個人でできる世の中になっているが、当時も印刷機をもつということは「個人メディア」を持つという意味があった。たとえ木製の粗末な謄写版であっても、自分の描いた字やイラストが複製されていくのをみるのは子どもにとってたまらない魅力である。

「小さな蕾」を改稿


2007年1月19日更新


第15回「バックル文化なぜ消えた」の巻
第14回「懐かしき「講義録」の世界」の巻
第13回「通販広告の手法としてのマンガ」の巻
第12回「子どものラジオ」の巻
第11回「高額品は月賦で」の巻
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第3回「スパイカメラ」の巻
第2回「コンプレックス科 体重・体格類」の巻
第1回「コンプレックス類 身長科」の巻


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