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「僕のダイヤモンド・デイズ」タイトル

トランポリン・松岡

第十六回『微妙にウタマロ、
チン長十四センチのセックス満足度』


似顔絵 夫婦として日常的にセックスを始めてからは約二十年。結婚が三十歳過ぎと遅かったのでその分短かく、女性の間をペニス一本で渡り歩くといった夢のようなジゴロ生活もないから、切れ切れの交際があったと言っても片手で十分人数計算が足りる程の女性とのセックス経験しかない僕である。
 結婚が遅かった理由は、勿論、セックスは根限り好きでも物凄く積極的な女好きではなかったことが一番の原因。それに貯金もそれ程なくて、カリスマ何とかの次に絶好調でブームのイケメンと違い、顔・体の造りが魅力的ではなかったこともある。
 それともう一つ。僕の二十代は、現在のように広告仕事もドン底不景気ではなくて何となくプラッと事務所に遊びに行くといい所に来たって感じで仕事が貰えたり、西武だパルコだ丸井だと激論しながら銀座のホコテンで石を投げればフリーターではなく「デザイナーに当たる」と言われたくらいの時代。コピーライターやイラストレーター、カメラマンも含めてデザイン関係が超人気で、世に出る出ないを別にすれば誰でもなれる流行一番のような職業の頃、とにかく仕事が面白かったことも結婚が遅かった理由と言えば言えるのである。
 さて、ソレコレで僕も遅かったが、親友にその僕より五か月程遅れて結婚した友人がいる。あの頃、十五万で行けたハワイと同じくらい新婚旅行先人気だった北海道のハネムーンから帰った彼に呼ばれて家に行くと、彼の遊び仲間という信金に勤めるヨッちゃんが来ていて、あっと言う間の新婚の乗り。三人のセックス談議で盛り上がったことがあった。
 このヨッちゃん、ヤンワリ温和な腰低営業マンに見えて、実は、僕も実際に見たのは最初で最後である徹妙にウタマロ・チン長十四センチのナニの持ち主だったのである。
 まだまだ人気雑誌ポパイがライバル雑誌ホットドッグと特集比較されながら割合盛んにデートマニュアルモノやハウ・ツウ・セックスモノを載せていた頃だったと思う。ハウ・ツウ・セックスの総仕上げ的体験の新婚旅行帰りとなると話題はやはりで、観光写真は適当にそっちのけでアッチの話に集中。
 初体験の低年齢化した最近は全然そんな話を聞かないが、僕の頃はまだ初夜出血だとか処女話があって、ヨッちゃんの場合がモロにそんな感じのソレ。

ウタマロ

 ガードが固く結婚まで合体させなかった奥さんとの初夜にいざビンビンに膨れた自慢の微妙にウタマロのナニを挿入しようとすると、とにかく痛い痛いーッで布団から外れる大騒ぎ。挿入を試みる度に上へ上へと二人の体がずり上ってゆき、結局、璧に頭が当たり動けなくなった状態でどうにかこうにか無事合体。奥さんとの初めての十四センチセックスは相当大変だったらしいのであるが、その点小振りな僕など、アンネタンポンCMではないが問題なく程々リズミカルなあっさりスムーズ挿入に続き、アレの寸前止めなんて無理無理の腰蕩けの絶頂快感。そして電話口で父も絶句のいきなり一度で妊娠、と三拍子揃ったハワイの初夜だったのである。
 そんな滅多にない騒ぎを経験のヨッちゃんが、初夜から新婚生活時代のナニ話で一晩に最高何回やったとかズバリの体験を次々連発。連日連夜新婚生活進行形の僕など、聞きたい話したい知りたいで頭が爆発しそうなくらいの大動揺を隠しての話し捲り聞き捲りであったが、そのうち話題は友人の北海道ハネムーン騒動話どころかハネムーンを完全に離れて日常セックス話に移行。
 僕の方は、家内が長女を妊娠していて五か月目の頃で一時ストップしていたセックスができる再安定期に入っていたが、普段からセックスに対して淡白な家内の妊娠中でもあり一応基本は週一回で土曜の夜だけセックスができる性生活であったが、いきなりヨッちゃんの八カ月までは十分デキる体験話を聞かされ、僕など生つばゴックン。
 長女が妊娠五か月と言っても結婚してから一、二年過ぎているわけではない。僕の場合、ハネムーンが十二月二十五日から一週間で長女は十月二十八日生まれであるから、実は、アレが余程濃かったのか初夜のたった一度のセックスでできたと考えられる娘で、妊娠五か月は新婚五か月とピッタシカンカン。一週間のハワイ旅行で合体一度は勿体なかったとヨッちゃんからのダメ出しに微妙に損した気分になった僕ではあるが、日本に帰ればいつでも何回でもできるということで、あの時はセックスよりハワイ観光を優先したのであるから仕方ない話なのである。
 深夜の下ネタ漫才ではないが男三人とにかく聞き役話し役入り乱れての賑やか話で、聞くと家は漁師。信金に勤めるヨッちゃんには既に子供が二人いて、僕たち新婚組より十年程先輩。営業日焼けした顔に体はガッシリ、世話好き芸能通オッサンタイプ。
 現在では大人気のテレフォンショッキング第一回ゲストが桜田淳子だったことや山口百恵の出産話、沖縄でのスプリングコンサートでファンの男に殴打され凄い心配をしていた松田聖子が実は郷ひろみとできているらしくて悔しくてファンをやめた等の話に混じって、訊いてもいないのに彼の嫁さんはナニに対しても勉強家だがフェラチオが上手にならない話まで飛び出し、とにかく露骨でメチャクチャ面白い彼の話に振り回され一晩中話してしまった。
 缶ビール片手にピーナツをつまみながらの講義は続き、体位は何が一番好きか話の頃には、十年先輩のヨッちゃんのセックス評論一人舞台状態。披は、四十八手の十手くらいを実際に奥さんと試したが、やはりバックが一番と新婚組の僕らに力説。尻をグッと抱えて後ろから荒々しく挑むポーズは、外国のポルノセックス的で腰がメチャクチャ弾むんだそうである。

缶ビール片手にピーナツをつまみながらの講義

 そのうちそんな彼のアレソレ話の中にナニ自慢がポロッ。京都のソープ嬢にもほめられたとニヤニヤ状態でサラッと見たこともない十四センチを言われても因るわけで、小振りな僕など夢なら覚めないでサイズの十四センチに半信半疑態度であるから、当然、嘘ーッを連発。
 「ほんなら、俺のを見せるわァー」
 ヨッちゃんが、マグロ一本釣りーッといった感じでGパンもグンゼの白いブリーフも一気に下げて陰毛と一緒にギュッと引っ張り出して見せたナニは約十一センチ。僕などオーッと思う程、立派。
 そのままいきなり後ろの廊下へ出ると何やら暫くモゾモゾの後、部屋に戻り「測って」の声。測定すると、約十三センチ四ミリ。ポルノ映画で十五とか十八センチ話を聞くが、こんな時に目の前で勃起させたヨッちゃんも凄いが、そのナニも本当に凄い。微妙にウタマローッとか言いながら僕など大拍手である。
 さて、自慢のナニが十四センチを見事に証明したヨッちゃんであるが、羨ましがる僕たちに、実はと言いながら、信金での営業疲れから胃潰瘍治療中のため戦意喪失気味で回数イマイチの性生活を自分で暴露。
 家内に乗っかる度に最低もう二センチか三センチは欲しいといった具合の僕など、実際にあんな自慢モノを実際に見せられると神様の不公平をつい真剣に思ってしまったのであるが、微妙にアレが被っているヨッちゃんのウタマロ・チン長十四センチセックスの夫婦満足度はどうなんだろうと、僕はフニャチンをチョコッと指で挟んで小便をしながら考えてしまった。


2003年6月19日更新


第十五回『コンドームと僕と、正常位』
第十四回『再会、また一つ。僕のテレビに懐かしの少年ジェットが来た。』
第十三回『ユーミンとセックスと鎌倉、僕の二十七歳の別れ。』
第十ニ回『シロクロ本番写真と五本の指』
第十一回『永遠のオナペット、渥美マリ』
第十回『ジェームズ・ボンドのセックスとナニの話』
第九回『二十一歳の冬、僕とフォークと喪失と。』
第八回『大阪スチャラカ物と言えば、てなもんや三度笠で決まり。』
第七回『嵌った嵌った、森繁の社長シリーズとアレコレ』
第六回『ジュンとネネではなく、VANとJUNの話』
第五回『夏は怪談映画、あの映画看板も僕を呼んでいた。』
第四回『青春マスターベーション』
第三回『ワッチャンの超極太チンポ事件』
第二回『中高年男性、伝説のモッコリ。スーパージャイアンツ』
第一回『トランポリンな僕のこと、少し話しましょうか。』


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