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「おじ散歩」タイトル

串間努
第5回 青梅商店街<その2>の巻

博物館の看板

住江町から西分町へ

 「となりのレトロ」で甘いものを食べてエネルギーを充填したので、再度出発。今度は西分町方面を探索することにする。ちょっと都合でレトロ商品博物館のほうから順に見ていかず、まずいったん西分町の端まで歩いていって博物館へ戻るという順路をとることにする。

 で、やって来ましたのが大正時代から続く八百屋の吉川屋。昭和35年に作った看板がステキ。ショーウインドウに売り物でない植木が置いてある。聞けばヤツガシラの芽だという。谷中しょうが、栗、いんげんなどは地元青梅で採れたもの。朝3時から青梅の青果市場で旦那が仕入れている。

お調髪昭和軒

 八百屋さんから西分2丁目のほうへ戻るように歩く。床屋で「お調髪」と書いてある貼り紙を発見。「お」がついていると上品で可愛い。坊ちゃん刈りになってしまう気がする。バス停留所「西分」の手前にはモスバーガーが見えてきた。だが、なんか看板のロゴが違う感じだ。おかしいな全国統一ロゴだと思うのだが。屋根にまで看板があるが、それもなんかヘンというか微妙に本家本元と違う感じがする。スーパーにあるような今川焼き屋風のテイクアウト用窓口もなんかアヤシイ。

モスバーガー
モスバーガー

こんなモスバーガーみたことない。きっと偽者だろうとみんなで話し合う(※後日、本物だということが判明。ごめんなさい)。モスバーガーの反対に渡り、薬局のとなりあたりに面白そうな履き物屋さんを見つけた。

ハキモノ屋ベランダ
ハキモノ屋店頭

ベランダが格子状になっていて沖縄のベランダを髣髴とさせる。店頭、店内中、貼り紙だらけの店だ。昭和5年開業。店主に聞くと「若い人がゲタのことを知らないから貼り紙でお知らせしています」とのこと。「盆おどり用ぞうり」「足型カリプソ」などに笑った。カリプソとは業界用語で足の型に出来た草履のこと。「草履はかかとから5cm出して、ぱたんぱたんと調子を取って歩くんです」と教えてくれる。ここの店内にもヤツガシラが飾ってある。ここの商店街のひとはホントにヤツガシラが大好きだ。

鍛冶屋
鍛冶屋

 店を出て、たばこ屋の先に行くと、鍛冶屋さんがある。昔の自転車屋さんのように、店先は土間になっている。天井近くには、一枚の鉄が農機具になっていく製造過程を実物を使い、説明してある額が掲げてある。しかしそれをみてもなんだかわからない。「これはなんていう農機具ですか」「まんのう(鏝能)です」「は?」「うなった(畝った)あと、土を平らにするものです」こちらは農作業のことに疎くて、わかったようなわからないような。すまんのう。鍛冶には鉈や鍬、鋤をつくる野鍛冶と刀をつくる刀鍛冶があるそうだ。戦争中は刀が足りなくて、こちらの鍛冶屋さんでも刀を鍛造したという。

竹かご屋

 鍛冶屋さんを後にして西分町2丁目に入るとすぐに竹屋さんがある。いまは青梅周辺で作っている人から仕入れて販売だけというが、真竹と孟宗竹で作った、いろいろな竹製品が並んでいる。山籠、箕(み)、水のうなどだ。水のうとはゆでめんの水きりざる。野菜・野草・きのこを摘んでいれる籠もある。プラスチック離れで自然回帰が進んでいる現代には環境にも優しい道具たちである。伊達巻き用のすだれやふとんたたきも売っている。予算は2000円〜。

青梅せんべいの店

青梅せんべいの店

 青梅のお土産で挙げられるのが梅干しと青梅せんべい、地酒。昔は青梅せんべいの店は結構あったようだが、やめた店が多いという。そんな中で、竹屋さんの反対側に、青梅せんべいの店がある。瓦せんべいとはちょっと違うが、米で作った草加せんべい系とは違った小麦粉せんべいだ(10枚600円〜)。明治時代に開業し、いまの店主は3代目。昭和3、40年代まではガスでなく炭で焼いていたという。1枚1枚、梅の花の輪郭を持つ鉄の型で挟んで焼く。型の裏面には小林天渕(江戸後期に活躍した青梅出身の画家・書家)の詩が刻まれ、せんべいに焼かれる。

橋本屋旅館 せんべい屋の隣が、『テイクアウトレストラン』と銘打つ持ち帰り弁当屋。隣の商人宿は、レトロもレトロ、『つげ義春』の漫画に出てくるような、ほどよく枯れた宿である。ビジネスホテルでは味わえないない雰囲気があって1泊するならオススメだ。並びには、一階をリフォームしながら、二階は土蔵のままの家があって地元者以外の目をひく。

木造とんかつや

 ずーっと下って西分交番を超えると、ギャラリー、薬屋、焼き肉屋と並んでおり、焼き肉屋のところをちょっと左折すると、呑龍横丁。すぐに木造日本家屋の古びた家が見える。とんかつがうまい食堂だ。訪ねた際はぜひ中2階や2階に上がらせてもらおう。元遊郭だけあって、内装もレトロだ。建て直す前のじぶんちでめしを食っているような錯覚に襲われること請け合い。特にみそ汁は家庭でつくるみそ汁そのもの。牛丼屋のインスタントみそ汁よりグンとウマイ。思わず寝転びたくなる畳とちゃぶ台に、一合とっくりが似合いそう。遊郭で飲んだことがない若い世代はバーチャル体験が味わえる。マスターは東京のホテルで修業したきたかたで一品料理のイモの天ぷらも絶品だ。

米や そろそろ博物館に戻ろうと、とんかつ屋をあとにして、旧青梅街道を奥多摩方面に進む。おっと米屋さんの店頭には豆がマスの量り売りで並んでいマス。とら豆、白花(いんげん)、あずきに大豆。「いまでも煮豆をする奥さんがいるんですよ」と米屋の奥さん。ふ〜ん、青梅の街には副菜にも手を掛けるお母さんたちがまだ残っているんだ。

金物や

 さて最後は、ちょっと博物館を通り越した反対側にある金物店だ。もともと鍛冶屋さんの販売所だったせいか、時が止まったような店だ。30年前までは鍛冶場もここにあったが、マンションなどが立ち並び始めると、朝早くからトンテンカンと槌打つ音が響くので別のところに移した。売っているものを広い店内から探して挙げてみようか。「豆炒り」「ねずみとり」「花柄の柄のおたま」「荒神ぼーき(小学校の時にげた箱掃除で使ったやつ)」「じょうご」「ひしゃく」「火箸」「桐製の蠅帳(風通しの良い食器保管庫)」「ハエたたき」「兵式飯蓋」「ぎんなん割り」「カルメラ焼き」など懐かしいものがズラリ。昔、物干し竿が竹だったときに、ビニールのカバーをして、お湯で収縮させたが、そのカバーもまだ売っている。一番懐かしいのは「手水」だ。和式便所から出たときに手を洗う道具で、バケツを逆さまにしたような容器の下部に蛇口があり、そこを手で押すと水がチョロチョロでてくるもの。いまはプラスチック製で1800円。ゲタや持ち物に押す「焼きごて」は1本800円。火で熱くしてからジュッと自分の名字を焼き印するものだ。ゲタを履かない今だったら、そうだな、饅頭でも作って、その上に押せばオリジナル饅頭の出来上がりだ。東急ハンズやロフトで他人と違ったおしゃれ雑貨を探すのが好きな人にはうってつけのお店かも。

 なんか茶化しちゃった面もあるけど、地元出身でない者の目には貼り紙や、取り扱い商品が新鮮だ。都会の喧騒に疲れた心には東京都内では絶対感じることができない、ユルさが感じられて「これでいいのダ」と癒される商店街である。それから、他人が持っていないモノを買いたいむきにはぜひ青梅の商店街を散歩してみることをオススメする。青梅のセンスを身につけて友達に差をつけよう!

書きおろし


2003年6月18日更新
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第4回 青梅商店街の巻
第3回 スカラ座閉店愛惜記念「名曲喫茶」の巻
第2回 水戸の駅前商店街漫歩
第1回「牛にひかれて善光寺参り」の巻


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