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「怪獣」タイトル

〈第二十二夜〉 『黒い噂、断つんだ!ジョー!』

鴻池綱孝


 読者からの質問がありました。今回はかなりマニアックな内容です。


 『「怪獣千一夜」にてディープなソフビ話を書いてくださるのなら、ぜひ黒いキングジョーについて取り上げていただければと思います。
 昭和45年当時、黒いキングジョーを購入した東京の友人がおり、写真もあります。彼はコレクターではないのですが、黒いキングジョーの出自を知りたがっています。贋作との声もありますが鴻池様はどう思われますか?宜しくお願い申し上げます。
(匿名希望S氏)』


 さて、怪獣ソフビ収集には「珍色」なるカテゴリーがあります。成型色や塗装色が現存する多くの物と明らかに違うもので、数が少ない故に珍重されるものです。マーケットでは、当然ながら高値になります。この事が贋作を生んだり、うわさの元凶になったりします。
 
 うわさの黒いキングジョー。プロダクトの物として当時(S45〜46年)発売されているはずです。東京のご友人のおはなしは重要証言です。以前Yahoo!オークションにて、ノン・コレクターによって出品された、物置の奥から出てきた昭和45年前後の一群のソフビに混ざっていた事とも一致します。また葛飾区の団地からも発見例はあります。状況証拠から、当時品と言って間違いないでしょう。

通称『ブラック・キングジョー』
 通称『ブラック・キングジョー』。足裏にはしっかりとブルマァクの刻印がある。ブラックと言われてはいるが、実際はディープ・ネイヴィーブルーといったところか。胸まわりに縁取られたコンク・イエローがハイセンスな配色!おしゃれヤクザ。

 しかし残念ながら「贋作」が存在するのも事実です。
 贋作は染料を使った後染めとよく言われているようですが、特に濃色の染めの場合はソフビ表面の気泡に染料がはいってしまい、点々、粒々が現われてしまいます。胴回りにアンダーの多いキングジョーなど顕著に出るはずです。特別な鑑識眼を必要とはしないでしょう。
 わたしは現物6体以上を見ていますが、少なくともその中には贋物はありませんでした。
 成型色は退色を差し引いても、グレイがかったものと、青味の強いグレイの2種があるようです。つまり2ロットはあったと考えていいと思います。噂にあるような、工場で余った材料の混色で作った色では、あのような色味にはならないでしょう。脈絡に欠ける色調で、肉薄で硬く、割れ易い材質です。匂いも特異です。

 脈絡に欠いたカラーリング。このミドリづかいも変わってる。文脈から外れてる。普通じゃないな、これ。
黒いキングジョー

 生産管理が甘かったであろう当時の現場(生産工場)では、材料の節約の為、肉厚を薄くする>ソフトビニールの「やわらかさ」を担っている可塑剤を減らす>薄く割れ易い製品が出来る。と、こうなるわけです。薄くとも、自立は出来ますし、工場としては一応、問屋に納品できるわけです。なんだか「町工場のおっさんの小遣い稼ぎレベル」の話かもしれません。『ガンダー』とかもそういうパターンです。
 また、どこぞの悪徳業者が、ブルマァクから流出した金型から勝手に抜きポン!ということも十分考えられます。「ヤクザ・プロダクト」まあ、これもあることでしょう。
 正規品ではないという根拠として、あの成型色って、当時のおもちゃ事情を考えると、問屋レベルでは、即、はねられます。「暗い!」って。暗かったマルサン一期からの流れで、ブルマァクはカラーリングに関して逆行はありえないはずですから。
 
 匿名希望Sさんのメールの終わりはこのようになっています。


  『考えて見れば、この黒いキングジョーは「みにくいアヒルの子」のようですね。
 生まれたときから他の仲間とは色が違い「真っ黒で変なの」と差別された。
 それが時を得て素晴らしい白鳥(貴重なコレクターアイテム)になった!』


  ブルマァク正規品かどうかは判りませんが、以上の理由から取り合えず当時生産品ということで如何でしょうか?黒い噂、断つ事が出来たかな?

マルザン製『キングジョー』
 マルザン製『キングジョー』。元型から抜いた為、大きく量感がある。『キングジョー』の名前の由来は脚本家の「金城(キンジョウ)哲夫氏」。
 四角い「モノ・アイ」の下にある二つの黒丸の方を「目」だと思うのは、女の感性。(そんなんじゃ、カワイクってしょうがないじゃないか!)100%そう思ってるね、女は!

                                 つづく‥


2004年6月30日更新


〈第二十一夜〉 『怪獣ソフビ道 作法習い』
〈第二十夜〉 『ジャミラ、クライ!』
〈第十九夜〉 「聖者が町にやってくる」
〈第十八夜〉 「キャプテンウルトラ」
〈第十七夜〉 「ウルトラマンが逝く」
〈第十六夜〉 「ゴメス とポリバケツ、怪獣と母」〈投稿文)
〈第十五夜〉 「怪獣のネーミング」(Part1)
〈第十四夜〉 エビラの勝ち目なき戦い(投稿文)
〈第十三夜〉 運命の塔
〈第十二夜〉 わたしのモゲラ様(投稿文)
〈第十一夜〉 怪塔、現る(part2)
〈第十夜〉 怪塔、現る(part1)
〈第九夜〉 すべての怪獣ブーマーへ告ぐ!
〈第八夜〉 大魔神の学習
〈第七夜〉 「レッドキングでダダ」
〈第六夜〉 マルサン商店『エビラ』『アントラー』『ガボラ』登場
〈第五夜〉 セメント怪獣
〈第四夜〉 マルサン商店『ウルトラマン』登場
〈第三夜〉 マルサン商店『ゴジラ』登場
〈第二夜〉 『マイ・ファースト・ウルトラマン』
〈第一夜〉 増田屋「ウルトラQ手踊り」『ペギラ』『ゴメス』登場


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