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「あやかし動物園」タイトル

園長 ペリプラ葉古

その16−ザリガニ


前方に子どもたちが群がっています。
水槽をのぞきこんで……ははあ、アメリカザリガニですね。
ザリガニはいつの時代でも子どもの人気の的なのです。

ザリガニ

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お手製の釣竿で十分だった。
棒きれの先にたこ糸をゆわい、その先にえさをくくりつける。
あとはえさを淀んだ池の中に放りこむだけ。
しばらく待つと、あたりを感じた。
逃がさないように慎重に、ゆっくりと引きあげる。
水面に赤い獲物が現れた瞬間の喜び!
少年にとってザリガニ釣りは胸ときめく遊びであった。

釣り上げたザリガニはなにしろかっこよかった。
長い触角、突き出た目、甲羅のぶつぶつ。ロボットめいていた。
赤い鎧かぶとと強力なはさみが特にロボットぽさを出していた。
体をつかむために手を伸ばすと、はさみを開いて威嚇する。
こちらの動きを目で追って、はさみを振りたてて牽制する。
はさまれようものなら半端じゃない痛みが襲ってくる。
少年は一匹のザリガニと真剣勝負で闘った。

ザリガニ

貪欲なヤツラを釣るためのえさはなんでもよかった。
ニボシ、スルメ、カエルの死体。動物質のものならなんでも。
なかでも最高のえさはザリガニ自身の身だったように思う。
釣れたザリガニの尾(本当は腹)をもぎって、むき身にした。
半透明なぷりぷりの身に、ザリガニどもは我先にと寄ってきた。
死にたての仲間の身に、ザリガニどもは次々と飛びついてきた。
少年はこの世の非情さをほんの少しだけ味わった。

いまならば知っている。
ヤツラは食料として日本に持ち込まれた動物だということを。
正確に言えば食用ガエルのえさとして導入されたのだけれど、
ヤツラ自身ロブスターの仲間なんだから食えるということを。
しかし、いまさらザリガニを(カエルも)食べる人はいない。
日本人の舌が肥えたのか。
それとも単に新しいものに挑戦する勇気がないのか?

ザリガニ

いまならば知っている。
ヤツラがひっくり返る寸前まではさみを持ち上げ抵抗したのは、
精一杯の虚勢だったということを。
水の中だったら尻込みして慌てて跳び下がるということを。
しかし、いまさら子をザリガニと闘わせようという親はいない。
日本人が優しくなったのか。
それとも単に恐いものには触れたくないだけのか?

いまならば知っている。
ヤツラは北米原産のアメリカザリガニというやつで、
繁殖力旺盛な強い種だということを。
おかげで日本固有のニホンザリガニは追われる一方ってことを。
しかし、いまさらニホンザリガニを増やす試みは難しい。
日本の実態を見ているようで面白いではないか!
この国がアメリカに制圧される日も近いのだろう。

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【ザリガニ】
十脚目(エビ目)アメリカザリガニ科の水生節足動物。日本にはこ
の科は2種いるが、移入種のアメリカザリガニの勢力拡大に伴い、
固有種のニホンザリガニはいまや北海道と東北北部のみに分布。も
う一種類、ザリガニ科のウチダザリガニがいるが、こちらはまさに
人間の食用目的でアメリカから持ち込まれた移入種。


2003年6月11日更新
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